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(難波流楽・JH4ADK)

◇概要

 経済産業省の再生可能エネルギーの固定価格買取制度が2012年7月1日からスタートしました。この制度は、太陽光発電の場合、20年間kWhあたり42円(40円+消費税)で電力会社が買取りするというものです。
 何を作っても、大抵の場合、売るのが一番頭の痛い処なのですが、価格交渉もせず、20年間という長期間に亘り買取価格が保証されているという何とも有り難い制度です。
 この制度の要点は次の3つです。
 @10kW以上の規模であれば全量買取で買取期間が20年
 A10kW未満の場合、余剰電力の買取で買取期間が10年
 B42円/kWhであれば、全量を売った方がお得

 1kW当たり年間4〜5万円の収入が期待できるので、20kW規模の太陽光発電所を建設することを計画しました。何年でペイできるのかということが議論の的になるようですが、電力の販売価格が決まっているため、イニシャルコストが安ければ安い程早くペイできるのは自明なので、自作することにしました。(本当は自作が好きというのが主な理由ですけど・・・)

 自作と言っても、ソーラーパネルまで自作するのは難しいので、基礎と設置用架台を自作しました。電気工事や経済産業省への申請ならびに電力会社との協議などは電気工事屋さんにお願いしました。
 家屋などの建築物と違い、ソーラーパネルの架台は建築基準法などの規制の対象外なので、自由な発想で自作することができます。

太陽光発電所の概要
公称出力 20kW
ソーラーパネル 260W    (80枚)
設置方向 南西
設置角度 26°
設置場所 岡山県吉備中央町
     北緯34°50'19.46"
     東経133°41'57.57"
占有面積 約180平方メートル(配置図)

ソーラーパネルの仕様
メーカ LG(韓国)
型式 LG260S1C-G3(カタログ)
公称最大出力 260W
セルタイプ 単結晶
外形寸法 1640x1000x35mm
質量 16.8kg

パワーコンディショナーの仕様
メーカ 新電元
型式 PVS010T200(カタログ)
定格出力電力 10kW     (2台)
出力方式 3相 AC200V
電力変換効率 95%

◇リスクの洗い出し

 何しろ太陽光発電所を作るなんて初めてなので、リスクについて机上で十分に検討しました。その結果、次のようなリスクを想定しました。(2012年9月時点)
・PID問題が持ち上がっており、経年劣化でソーラーパネルの発電効率が極端に下がることがある。
・42円/kWhという買取価格は2013年3月末までの契約分であり、それ以降の買取価格は未定であるため、2013年3月までの竣工できないと投資効率が悪くなる。
・上記2点の問題を踏まえ、優良メーカのソーラーパネルは奪い合いになり、入手できない可能性がある。
・20年の内には色んな天災・災害に被災する可能性がある。
 地震・台風・強風・雷・洪水・火災・大雪・雹・隕石・航空機など
・人為的な破壊や盗難のリスクがある。
・放置しておけば、草や木が伸び放題になって発電効率が下がる。
・ソーラーパネルの表面が汚れることにより発電効率が下がる。
・錆などによって腐食して性能が維持できなくなる。
・ソーラーパネルが故障する可能性がある。
・パワーコンディショナーが故障する可能性がある。

◇設計方針

 以上のようなリスクを踏まえた上で太陽光発電所を建設するにあたり、次のような設計方針としました。
・20年持てば良いと割り切って、シンプルな構造とし、建設費を安く抑える。
・なるべく一人で建設作業ができることとする。
・入手が容易で安価な単管パイプを構造材として使用する。
・単管パイプはなるべく切断せずに、ホームセンターで販売している寸法のまま利用する。
・リスクを分散するために、1つの大きな架台に設置するのではなく、架台を4つに分ける。
・ソーラーパネルは20〜30°程度の傾斜をつけて設置する。
・地業はなるべく省略して既存の地形をそのまま残す。
・杭の不等沈下を防ぐために、単管パイプを使って地中梁のようなものを設ける。
・単管パイプだけでは受圧面積が小さいので、不要な瓦やブロックなどを利用する。
・生コン車から現場までの移送が困難なので、生コンの使用量を極力少なくする。
・インスタント生コンを使用する。
・果樹園用のアンカーを打って強風に対する耐力を増す。
・ソーラーパネルと単管パイプはUボルトで固定する。
・乗用草刈機で草刈ができるように、架台の周囲には1.5m程度の余地を残す。
・ソーラーパネルの清掃が容易にできるように、高さは2m以下とする。
・降雨時の泥はねを防ぐために、ソーラーパネルは地面から50cm以上の高さとする。
・ソーラーパネルの故障に備えて予備のパネルを購入する。
・一部のソーラーパネルが故障した場合でも発電能力の低下を最小にする。
 (10直列x8並列とする。)

◇図面(ポンチ絵)

・電気系統図
・架台のポンチ絵

◇太陽光発電所建設の様子

←直線ジョイント

↓単管パイプ運搬用に艤装した
 Pink Lady
↑ソーラーパネル入荷
 2012/12/16

→ミニユンボで基礎用の溝掘り
 2012/12/24

↓単管パイプを購入
 2012/12/25
←直線ジョイントに穴明けする時に
 使用するVブロックもどきのジグ
←直線ジョイントで接続したパイプ

→単管パイプをブロックの穴に
 差込む
 パイプの先端には防水のために
 ビニル製のキャップ
→接続のため単管パイプに穴明け

↓地中に単管パイプを埋設して
 地中梁の代わりとする
↑パワーコンディショナー入荷
 2012/12/31

←地中梁にブロックを差込んで
 沈下を防止

↓最前列の地中梁に柱を立てる
↑継ぎ目には防水にために
 ビニールテープを巻いた

→地中に埋まる直交クランプを
 生コンで巻いた

↓パイプフレームの組立開始
 2013/01/09
↑高速切断機で単管パイプを切断
 (高速切断機を購入)

←後列の地中梁を設置
 2013・01・10
←インスタント生コンを現地で混練

→ソーラーパネル運搬用の艤装を
 Pink Ladyに施す
←風で飛ばされないように
 不要品のホイールを
 アンカー代わりに埋設

↓後列の基礎工事もほぼ完了
 2013/01/19
↑Uボルトと単管パイプ用キャップ

→塗る亜鉛メッキ
 ROVAL

↓Pink Ladyで単管パイプを運ぶ
←前列の横桟を取り付け
 2013/01/20
←ソーラーパネルの取付位置を
 墨入れ

→後列の縦桟を取り付け
 2013/01/22
→5mの単管パイプを切って
 2.5mの部材を2本作る

↓ROVALを塗った脚部
↑角パイプに穴明け

←ソーラーパネルに穴明けする
 ためのジグをアクリルで製作

↓ソーラーパネルを取り付ける
 横桟の間隔を調整するための
 ジグを製作
↑パイプフレームの完成
 2013/02/01

→ソーラーパネルに穴明けする
 時の当て板を製作

↓後列の脚部にROVALを塗布
↑角パイプで作った
 パワーコンディショナー取付部

←Pink Ladyでソーラーパネルを運ぶ
 (試運転)
←埋め戻し完了
 2013/02/11

→ソーラーパネルに穴明け
←Pink Ladyで一度に6枚運ぶ
←ソーラーパネル取付完了
 2013/02/14

→電気工事
 引込用に鋼管柱を立てる
→柱上トランスを
 容量アップする工事
 2013/02/18

←分電盤内の様子
↑幹線に接続する電気工事
 2013/03/26
 工事完了・連携運転開始
←買電用積算電力量計
 電力会社支給品(アナログ式)

→売電用積算電力量計
 自前で用意(デジタル式)